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基礎知識

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 今さら聞けない基礎知識をわかりやすく解説します

2021年9月29日


デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 今さら聞けない基礎知識をわかりやすく解説します

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のErik Stolterman教授が提唱したとされる概念で「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことだと言われています。これを前述の「DX推進ガイドライン」では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。なぜDXが求められるのか、その理由はさまざまですが、主として以下のような理由が挙げられています。

市場における競争力の強化

デジタル技術の登場によって、新しいビジネスモデルが生まれ、それに伴い旧来のビジネスモデルやルールが変化、あるいは破壊されることを「デジタルディスラプション」と呼びます。現在のビジネスシーンは、従来よりもはるかに短いスパンで激しく変化し続けています。自分たちのビジネスが、デジタルディスラプションによって「破壊」されないためには、時代の変化に合わせてビジネスモデルも変えて行かなくてはなりません。これは、まさにDXの定義そのものです。

実際にDXへの対応を進めている企業と進められていない企業との違いは、大きな競争力の差として表れています。

レガシーシステムからの脱却

システムの刷新が行われず、長い年月が経過するうちに老朽化・複雑化・ブラックボックス化してしまった既存のシステムを「レガシーシステム」と呼びます。レガシーシステムを放置してしまうと、老朽化したシステムの運用・保守に限りあるコストや人的リソースが費やされてしまい、その影響で新たなデジタル技術への投資が困難になってしまいます。

2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート」では、こうしたレガシーシステムが足枷となっている現状から脱却できなかった場合、「2025年には、最大で年間12兆円の経済損失が企業および日本に生じる可能性がある」という最悪のシナリオを示しています。この問題は「2025年の崖」と呼ばれています。

こうした事態を招かないためにも、DXの推進が必要とされています。

変化する消費者ニーズへの対応

近年、消費者の関心は「モノを所有すること」から「コトを体験・共有すること」へと変化しつつあります。具体的な例としては、従来のようにモノを購入するのではなく、カーシェアや民泊サービスのような「サブスクリプション」や「シェアリングエコノミー」といったサービスを利用するなどです。

このような消費者ニーズの変化に対応するためには、従来のビジネスモデルそのものを変える必要があります。例えば、動画のストリーミング配信として有名なNetflixも、創業時代はDVDのレンタルサービスを行う会社でした。Netflixの現在の成長は、消費者のニーズの変化にあわせ、ストリーミング配信サービスにビジネスの軸足を移した結果だと言えるでしょう。

時代にあわせてビジネスモデルを変化させていくには、既存の情報システムの見直しが必要となります。

事業継続性の確保

DXを実現するデジタル技術

DXを実現するには、さまざまな技術を有効的に活用することが重要です。ここではDXと共に語られることの多い、主要な技術を紹介します。

クラウド

DXを実現するためには、経営戦略にデータやデジタル技術を反映させるためのITシステムが必要不可欠と言ってよいでしょう。ビジネス環境の激しい変化にスピーディに適応できる、柔軟なITシステムを実現するために、最も効果的な選択肢がクラウドです。

とはいえクラウドサービスごとに提供されている機能や性能は異なるため、システムの用途にあわせて最適なサービスを選択することが重要です。また、機能ごとに異なるクラウドサービスを選択し、組み合わせる(「マルチクラウド」)ことで、パフォーマンスの最大化を狙うといった使い方も可能です。

クラウドを使うメリットの1つがオンプレミスに比べて、初期費用やランニングコストを低く抑えられる点です。また、ハードウェアのメンテナンスなどもクラウドベンダーに任せられるため、システムの運用に割く人的リソースを軽減できます。クラウドの詳細については、「クラウドとは~今さら聞けない基本を徹底解説~」をご確認ください。

IoT

IoTとは「Internet of Things」の略で、具体的にはセンサー機器や建物、車、コーヒーメーカーなど、これまでインターネットとは無縁であった「モノ」が、インターネットに接続されることを指す言葉です。日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。

こうしたモノがインターネットを通じてサーバーやクラウドに接続されることで、モノを通じて収集されたデータを解析したり、ほかのサービスと連携させることが可能になり、従来よりも高い価値を生み出すことが期待されています。IoTの詳細については、「IoTとは」を参照してください。

AI

記憶や学習による知識の獲得や、推論、判断などは高度な知能を必要とするため、従来であればコンピューターに行わせることが難しい作業のひとつでした。こうした「人間の知能」を人工的にコンピューター上で構築し、作業を再現する仕組みや研究がAIです。AIは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と呼ばれています。

IoTなどで蓄積されたビッグデータも、単に集めただけでは意味がありません。集めたデータは分析し、サービスや商品の開発、マーケティング戦略などに活用する必要があります。現在AIは、こうした大量のデータを分析、活用するためには欠かせない、重要な技術に位置づけられています。AIの詳細については、「AIとは」を参照してください。

モバイル

従来のITシステムは、主にオフィス内のPCから利用することを前提としていました。しかし、近年ではスマートフォンをはじめとしたモバイル機器の発展により、PC以外のデバイスからの利用も考慮されるようになってきています。また、モバイル機器の特性上、ユーザーがオフィス内にいなくともサービスを利用したり、データを収集したりといったことが可能となっています。

5G(第5世代移動通信システム)

5Gとは、5th Generation(第5世代移動通信システム)の略称で、次世代の通信インフラとして注目されている技術です。前述の「クラウド」「IoT」「AI」「モバイル」といった各技術はいずれも成立する前提としてネットワーク基盤を必要としています。5Gは、これらDXを実現するためのキー技術の性能を、総じて底上げすることができると期待されている通信システムです。

クラウド移行がDXのファーストステップ

DXを推進していく足がかりとして有効なのが、まずは既存システムをクラウドに移行するという取り組みです。クラウドに移行し、徐々に運用管理のスタイルをより先進的なものへと変えていく(モダナイズする)というプロセスは「リフト&シフト」とも呼ばれています。

オンプレミスのシステムをクラウドに移行することによるメリットは数多く存在しますが、最も効果が目に見えやすいのは「ハードウェアライフサイクル」からの脱却でしょう。オンプレミスの運用において負担となりがちな、ハードウェアのリプレイスなどにまつわる一切のコストを、サービス利用料を支払う形で、クラウドベンダーに委託することができるためです。ハードウェアの保守に掛かっていた工数を大きく削減できるため、貴重なIT人材のリソースをレガシーシステムの保守で消耗せず、DXの推進といった、より価値の高い取り組みに割くことが可能になります。前述の「DXレポート2」では、DX実現のために必要なのは、「「素早く」変革「し続ける」能力を身に付ける」ことであり、「DXは、ITシステム更新の問題から企業文化刷新の問題へ」という記述があります。つまり、「ハードウェアライフサイクル」からのマインドセット変革によって、クラウドを活用したDX推進が可能な企業文化を醸成することが重要だということです。

システムのクラウド移行の進め方については、「【まとめ】オンプレミスとクラウドを併用!クラウド移行のはじめの1歩「ハイブリッドクラウド」」も参考にしてください。

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