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基礎知識

混同しがちな「レンタルサーバー(ホスティング)」と「クラウド」の違いを解説します

2021年10月20日


混同しがちな「レンタルサーバー(ホスティング)」と「クラウド」の違いを解説します

クラウド(IaaS)は、クラウドベンダーが用意したITリソースをオンデマンドに利用できるサービスです。例えば、必要なスペックのサーバーを必要な台数だけ、必要になったタイミングで借りることができます。また、クラウドでは使用した分だけの料金が請求される従量課金制を採用していることが多く、非常に柔軟で使い勝手がよいのも特長です。現在、クラウドはサーバーをはじめとしたITリソースが必要とされる、さまざまなシーンで活用されています。

サーバーを借りられるサービスとしては、従来からある「レンタルサーバー(ホスティング)」もまだ多くのユーザーに利用されています。クラウドとレンタルサーバーは、ベンダーが用意したサーバーを借りて利用するという点では同じと言えるため、混同している方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では混同しがちなレンタルサーバーとクラウドについて、両者の違いやそれぞれのメリット/デメリット、利用シーンを解説します。なお、レンタルサーバーには、ハードウエアを占有できるタイプと、ほかのユーザーと共用するタイプが存在しますが、ここではレンタルサーバーの主流である共用タイプを前提とします。

レンタルサーバー(ホスティング)とクラウドの違い

レンタルサーバーとクラウドは、どちらもベンダーが所有・管理しているサーバーをネットワーク経由で利用できるサービスです。どちらもサーバーをレンタルするため、同じようなサービスに見えるかもしれません。しかし、両者にはCPUやメモリなどのリソースの扱いについて、大きな違いがあります。

共用のレンタルサーバーでは、複数のユーザーが1台の物理サーバーを文字通り共有して使います。サーバーが持つCPUやメモリ、ストレージなどのリソースは、同一のサーバー上に「同居」するユーザー全員で融通して利用することになるため、例えば、あるユーザーが負荷の高い処理を行うと、その間はほかのユーザーが実行しているプロセスのパフォーマンスが下がる可能性があるなど、第三者の影響を受けやすいのが特長です。

対してクラウドは、1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを作成し、ユーザーごとに独立した仮想サーバーを割り当てます。複数のユーザーが1台の物理サーバーを共有するという点では、クラウドもレンタルサーバーと同じです。しかし、それぞれの仮想サーバーごとにリソースを確保して割り当てるため、レンタルサーバーと比較して、第三者の影響を受けにくくなっています。

レンタルサーバーとクラウドの違いは、よく「シェアハウス」と「マンション」に例えられます。

レンタルサーバーは、シェアハウスのように1つの物件(物理サーバー)の中で、複数の住人(ユーザー)が生活空間をシェアしている状態です。自分の部屋こそ用意されているものの、キッチンやお風呂といった設備(リソース)はほかの住人と共用することになりますから、どうしてもほかの住人の生活の影響を受け、自分の好きに使えるわけではありません。例えば、お風呂を長時間占有する同居人がいたら、順番待ちが発生してしまうといった具合です。

クラウドも1つの物件(物理サーバー)に複数の住人がいる点では、レンタルサーバーと同じです。しかし、あたかもマンションの各部屋のように、それぞれの住人ごとの専有の空間(仮想サーバー)が仮想化技術によって分離されており、キッチンやお風呂といった設備(リソース)も、各部屋に専用のものが用意されています。さらに必要に応じて、ソフトウエアのインストールやサーバーのスケールアップなど、自分好みに専有空間内の設備を変更することも許されています。

ただし、実際のマンションでもエントランスやゴミ置き場を住民全員で共有するようにクラウドでもネットワークなどの一部のリソースについては、ほかのユーザーと共有することになっています。

レンタルサーバーとクラウドのメリット/デメリット

レンタルサーバーとクラウド、それぞれのメリット/デメリットの傾向を以下の表にまとめました。なお、個々のサービスにおいては必ずしも下記の表と一致しない場合もありますので、詳細は各サービスの仕様をご確認ください。

レンタルサーバーは導入時に初期費用こそかかるものの、運用面での手間が少なく扱いやすいのがメリットです。ただし、手間がかからないというのは、カスタマイズなどの自由度が低いことの裏返しでもあります。

クラウドは自由度や柔軟性が高いものの、責任分界点に応じてユーザー側でのセキュリティ対策が必要になるなど、使いこなすには相応の知識が要求されます。また、初期費用がかからず、高い柔軟性によって利用コスト最適化もしやすいものの単位時間あたりの利用コストは割高になる傾向にあると言えるでしょう。

項目 レンタルサーバー クラウド
導入コスト 導入時に初期費用が発生する。(△) 初期費用はかからず、利用したリソースに応じて課金が発生する。(○)
利用コスト 決められた月額費用で利用できる。クラウドと比較して利用コストは安めで、かかるコストも計算しやすい。(○) 従量制と定額制のどちらかを選択できるクラウドベンダーが多い。レンタルサーバーと比較すると単位時間あたりの利用コストは高め。(△)
運用面 サーバーの設定や運用・保守などはすべてベンダーが行うため、サーバーの構築や運用の経験がなくても扱いやすい。(○) サーバーの構築作業やOS・ミドルウェアなどの運用・保守が発生するため、利用にあたってある程度の知識が必要となる。(△)
カスタマイズ性 ミドルウェアのインストールといったカスタマイズを自由に行うことができない。(×) 好きなOSを選択できる、ミドルウェアをインストールできるなど、カスタマイズ性に優れている。(○)
柔軟性 サーバーのスペックを変更したい場合は、プラン変更の手続きやサーバー移行の作業が発生する。(×) オンデマンドにCPUやメモリなどのスペックを変更できる。サーバーの台数を自在に増減させることも可能(スケールアップ/スケールアウト)。また、設定した値以上の負荷がかかった際に自動的にスケーリングをしてくれる「オートスケール」という機能がある。(○)

レンタルサーバーとクラウドの利用シーン

例として、Webサイトを公開するためにサーバーを用意する、というシチュエーションを考えてみましょう。

利用コストを安く抑えたい個人のブログや中小企業のコーポレートサイトなどには、レンタルサーバーが向いています。なぜならば、アクセス数の波が少ないサイトは負荷対策について考える必要がなく、またシンプルなWebサイトであれば特殊なミドルウエアのインストールやカスタマイズも不要なためです。こうしたサイトでは、レンタルサーバーのデメリットであるカスタマイズの自由度や柔軟性の低さが問題とならないため、運用の手間がかからないレンタルサーバーのメリット部分を活かすことができます。

対してアクセスの変動が激しく、リソースの増減が求められるECサイトや一時的にオープンするキャンペーンサイトなどにはクラウドが向いています。このようなアクセスの変動が激しいサイトを効率よく運用するためには、オンデマンドにスケールできるクラウドの柔軟性が必要不可欠です。仮にレンタルサーバーで運用しようとすると、最大負荷時にあわせたスペックのサーバーを常時稼動させる必要があり、無駄な利用コストが発生してしまうでしょう。また、クラウドは初期費用が必要なく、使った分だけの従量課金制のため、一時的に利用するサイトとの相性も抜群です。レンタルサーバーよりも利用コストの最適化が見込めます。

クラウドをもっと詳しく知りたい方へ!

クラウドの種類や特長については、IaaS、PaaS、SaaSの違いを整理して、クラウドサービスの特徴を知ろうの記事も参照してください。また、クラウドに移行するメリットなどをわかりやすく解説したビギナーズガイドを無料で提供しています。ぜひ、こちらもあわせてご活用ください。

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