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基礎知識

クラウド選択時の重要な指標。サービス品質保証(SLA)とは?

2019年12月4日


クラウド選択時の重要な指標。サービス品質保証(SLA)とは?

クラウドサービスを選択する際にポイントとなる指標はさまざまですが、その中でも重要なポイントの1つが「SLA(サービス品質保証)」です。本記事では、「SLAとは何か」「サービス選定時にSLAをどのように利用したらよいのか」について解説します。

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SLAとは

「SLA」とは「Service Level Agreement」の略で、日本語では「サービス品質保証制度」や「サービス品質保証」と呼ばれます。これはユーザーと事業者の間での「どのようなサービスを提供するか、その品質について明文化し、合意したもの」を指します。

SLAのはじまりは、ネットワークが普及し始めた時代に遡ります。当時は現在のように通信の品質が高くなく、データ転送速度が低下したり、通信障害が発生することがありました。そこで通信事業者は、データ転送速度の下限や障害時のダウンタイムの上限などを設定しました。あわせて、万が一その基準を満たせなかった場合のペナルティーなどを規定して、ネットワークの通信品質を保証しました。これがSLAのはじまりだと言われています。

現在は通信サービスに限らず、データセンターやシステムの運用・保守サービスなど、幅広い分野でSLAが規定され、利用されています。

SLAの構成要素とは

SLAはサービスの品質を明文化したものですが、それに「合意」するためには、具体的にどのような点について気を付けるべきでしょうか。次に挙げる「サービスの定義」「サービスレベル」「サービスレベルに対するコスト」の3つが大きなポイントとなります。

サービスの定義

大前提となるのが「サービスの定義」です。なぜならば、まずはどのようなサービスがSLAの対象になるのか、その範囲を明確にしないことには契約が成立しないからです。しかし、単にSLAの対象となる範囲を明確にしただけでは不十分です。その範囲において、次に挙げる「サービスレベル」が測定可能であることが必要です。

サービスレベル

サービスの品質を明確にするためには、そのサービスに対して測定可能な指標がなければいけません。指標は基準を満たしていることを客観的に判断できるよう、定量的に計測可能な数値である必要があり、例として「稼働率」「遅延時間」「障害から復旧までの時間」などが利用されます。この中でも特に「稼働率」は、クラウドのサービスレベルを測る指標としてよく利用されています。

稼働率とは、「稼働率=(全時間-システム停止時間)/全時間」を100分率で表したものです。ここでシステム停止時間(ダウンタイム)とは、障害などによってシステムが停止してから復旧するまでの時間を意味します。例えば、1カ月(744時間)の間に1時間だけ停止するシステムの稼働率は 「(744時間-1時間)/744時間=0.9987」の式から、99.87%となります。

多くのクラウドベンダーは「稼働率○○%」のようにサービスレベルを記載していますが、ここで求められた稼働率を算出する際の「全時間」は、SLAごとに異なるということに注意してください。そのため、算出された稼働率の数値のみを単純に比較することはできません。とはいえ、ある程度の期間において十分に高い稼働率を示しているのであれば「故障が少ない」「故障しても復旧までの時間が短い」と判断してよいでしょう。

システムの稼働率と並んで気になるのが、ネットワークのパフォーマンスです。ネットワークについては、クラウド事業者が自社で提供している機能・サービスを除いて、基本的にほかのネットワーク事業者が提供する回線を利用しているため、通信障害によるサービスレベルの低下をクラウド事業者側で保証することができません。そのため、ネットワークのパフォーマンスに起因する指標をクラウドのSLAに含めるのは難しいでしょう。

サービスレベルに対するコスト

サービスレベルを実現するためのコストについても考慮しておく必要があります。クラウド事業者によっては、SLAに記載された稼働率を実現するために追加のコストが発生することもあります(後述)。一般的に高い稼働率を求めれば求めるほど、かかるコストは上昇します。システムにどこまでの信頼性を求めるのか、そして、それはかかるコストに見合うのか、きちんと吟味しておくことが重要です。

SLAの適用条件

多くのクラウド事業者では、サーバー・ストレージ・ネットワーク・コントロールパネルなどの各項目ごとに、個別にSLAが設定されています。しかし、クラウド事業者によって、SLAの適用条件が異なる点に注意が必要です。

前述の稼働率を例に説明しましょう。あるクラウド事業者がSLAで99.99%の稼働率を記載していたとします。しかし、この稼働率は単一サーバーでは達成できず、複数のゾーンを跨いだクラスター構成を組むことで、はじめて達成できる数値である場合もあります。この例の場合、システムの構成によってはSLAに記載された稼働率を達成できません。SLA通りの稼働率を達成しようとすると、複数台のサーバーやクラスター構成を構築するための追加費用が発生してしまうでしょう。

その点、ニフクラでは単一ゾーンのサーバー1台から99.99%の稼働率を保証しています。特殊な条件なしでSLA通りの稼働率を達成できるため、クラウドを初めて導入される方も少ない学習コストでご利用いただけます。

クラウド事業者によって、SLAの保証内容が異なる点にも注意してください。保証したサービスレベルが達成できなかった場合、事業者側にペナルティーが発生します。これはサービスレベルが未達となった期間に対して、サービス料金を返金する対応が一般的ですが、「ドライバーやOS上の不具合」「事業者の設備以外の不具合」「火災、停電などの災害」などでは、SLAが未達の場合でも返金の対象とならないケースもありえます。くれぐれも契約前にSLAの利用規約をよく読むことが大切です。

また、クラウド事業者が定義・合意したSLAを履行するための目標値として、「SLO(Service Level Objective)」を設定している場合もあります。自社の用途にマッチしたクラウドサービスを選定する上で、SLOもあわせて参考にしてください。

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