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技術解説

DRなどバックアップの課題はクラウドで解決

2018年3月5日


リードレプリカ

「DR(ディザスタリカバリ)」の対象となるのは、自然災害や火災といったものだけではありません。企業のデータを“人質”に取って身代金を要求するランサムウェアなどのサイバー攻撃に対しても有効な場合があります。

DRの基本となるバックアップについて、考えていきます。

バックアップの目的はBCP/DRだけではない

バックアップは、これまで「BCP/DR」のひとつとして位置づけられていましたが、近年は企業の社会的な義務になりつつあります。

例えば、医療機関では5年分の全カルテ、金融機関などでは過去3年間の顧客宛メール、薬品・食品業界では3年間の製造工程データの保管が義務付けられるなど、データ保管には信頼のための新しいニーズが生まれています。

また、企業のデータを「人質」に取り身代金を要求するランサムウェアなどのサイバー攻撃に対する備えとしても、バックアップの重要性は増加しています。

標的型攻撃を受け、不幸にもランサムウェアに感染したとしても、バックアップデータがあれば、攻撃者に身代金を支払わずに感染前の環境に復旧することが可能です。

新たなニーズに加え、データの肥大化も現代の環境に合わせて意識されるようになった課題です。高精細化による写真データの肥大化、動画の利用拡大、さらに今後は「IoT」のような解析用のデジタルデータなどが、バックアップすべきデータ量を増大させていくと考えられます。

これらの新しいニーズや課題は、従来通りの手法で今後もバックアップを行うことを難しくしています。

従来 現在
バックアップの目的 主にBCP/DR データ保管義務への対応
サイバー攻撃への備え

バックアップを考える際は、従来のBCP/DRという側面以外にも、多角的な視点から考える必要がでてきているのです。

企業のバックアップをどう考えるか?

一口にバックアップといっても、さまざまなバックアップの方法や保存メディアがあります。ここでは4つの視点から、企業で使用するバックアップの考え方を整理してみます。

“どうやって”バックアップするのか?

冗長化(レプリケーション)のほかにも、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップ、スナップショット、アーカイブなど、バックアップの方法はさまざまです。

復旧までの時間や、どの時点までのデータを復元する必要があるのかなどを考慮し、選択することになります。

“どこに”バックアップするのか?

BCP/DRとしてバックアップを考える際は、バックアップデータの保存先が重要になります。

オンプレミスで自社内にバックアップデータが保管されている場合、大地震や火災などの備えとしてはリスクが大きくなります。リスク軽減のためには、遠隔地にある社外データセンターを利用する必要があります。

クラウドサービスを利用すれば、バックアップ先を海外にすることも手軽に行えるので、BCP/DRのバックアップとして、十分なリスク対策を行えます。

バックアップを“どう復元”するのか?

バックアップデータの確実な保管は重要ですが、万が一の際、速やかに復旧が実行できることも重要です。

例えばテープメディアなどを利用すると、データ(メディア)の輸送が必要になってしまうでしょう。膨大なデータの場合、転送に長時間が必要になることもあります。これは復旧までに長時間かかることを意味します。

また、被害が発生したハードウェアの復旧についても考えておく必要があるでしょう。

バックアップ用途に適したクラウドの選び方

クラウドサービスが最適かどうかは、それぞれの企業によって異なる点はありますが、セキュリティが強化され、可用性が向上しているクラウドサービスは、多くの企業にとってバックアップの有力な選択肢となるでしょう。

最後にクラウドバックアップの優れた点について、まとめてみます。

コスト 大容量のデータでもコストを抑えられるようになり、オンプレミスとトータルコストを比較しても優位になる場合が多い
可用性の高さ 一般的な企業が求める可用性で考えると、クラウドバックアップの可用性の費用対効果はとても優れている
復旧スピード クラウドバックアップの場合、ネットワークさえ使用できる環境であれば、容易な復旧が可能でダウンタイムを最小化できる
選択肢の多さ スケジュール機能、暗号化、管理機能などが用意されていて、ユーザーは必要なサービスだけを選択して利用できる。オプションサービスで冗長化の強化などに対応している事業者もあり

クラウドを利用したバックアップには、このように数多くのメリットがあります。

元々「高い」というイメージがあったクラウドによるバックアップですが、最近では大容量のデータでもコストを抑えながら安全に保管できるようになっています。

システムの高い可用性を実現するためには、システムの更新に加えて、ハードウェアのメンテナンス、専門スタッフの配置などが必要となりますが、クラウドを活用すれば実質的にこれらの投資を最小限のコストで行うことができるのです。

また、バックアップデータの保全が万全でも、復旧までに長時間がかかるようではBCP/DRとしては不十分。迅速な復旧に貢献するという点もクラウドの重要なメリットです。

そして、なによりバックアップの目的は「データの複製をつくる」だけではありません。

転送するデータや保存しているデータのセキュリティの確保、バックアップの頻度、ハードウェアの管理など、実際に必要になる業務は多岐にわたります。こうした業務もまた、クラウドを利用することで効率化が図れます。

もしもオンプレミスでのバックアップに限界を感じているようであれば、自動での冗長化などのソリューションやクラウド移行のサポートを提供しているクラウドサービスも多くあります。コストバランスがよく、安全で実用的なバックアップのために、一度現在の環境を見直してみてはいかがでしょうか。

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