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技術解説

サーバーだけじゃない!?ネットワークの仮想化でさらなる効率化を実現

2022年2月25日


サーバーだけじゃない!?ネットワークの仮想化でさらなる効率化を実現

現代のITインフラには、必要な時にすぐ立ち上げられる構築スピードや、ビジネスの変化に応じて構成を変更できる柔軟さが強く求められています。そして、こうした要求を満たすため、欠かせない技術の1つが「仮想化」です。

仮想化とは、専用のソフトウェアを利用し、サーバーなどのハードウェアリソース(CPU、メモリ、ディスク)を物理的な構成にとらわれず、論理的に統合・分割できるようにする技術です。一般的に「仮想化」と言った場合、サーバーの仮想化を指すことが多いでしょう。しかし、サーバーと同様にストレージ、ネットワーク、デスクトップ環境、アプリケーションなども仮想化することが可能です。

本記事では「ネットワークの仮想化」について、メリットや実現に必要な技術、クラウドとの関係を踏まえながら解説します。

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ネットワークの仮想化とは

従来のネットワークは、ネットワークリソース(スイッチ、ルーター、ファイアウォール、ロードバランサーなどのネットワーク機器)として、物理的なハードウェアを利用していました。こうしたハードウェアを仮想化ソフトウェアで抽象化し、ソフトウェア的な統合・分割を可能にするのが「ネットワーク仮想化」です。つまり、仮想化の対象がネットワーク機器であるというだけで、その目的や行っていることはサーバーの仮想化と同様です。

そもそも、サーバーを仮想化する主な目的は、構築や運用の効率化にありました。仮想化によって、ハードウェアリソースを複数の仮想サーバーに自由に配分できるようになるため、ハードウェアの利用効率が上がります。こうしたハードウェアの最適化は、余剰な設備を保有しなくても済むことに繋がり、結果として導入コストや運用コストの削減といったメリットが生まれます。また仮想化されたサーバーはソフトウェアから制御可能なため、ファイルをコピーするのと同じ感覚でサーバーを複製できるなど、運用の効率も向上します。

ネットワーク機器は、サーバーと同様にITインフラを構成する重要な要素の1つです。ここで問題となるのは、ネットワーク機器はサーバーとは独立して導入や運用が必要になるという点です。つまり、サーバーの仮想化によってサーバーの導入や運用を効率化しても、仮想サーバーを構築するたびに新たなネットワーク機器の調達・設置・設定変更を別途行う必要が出てきます。ITインフラ全体を見た場合、こうした「仮想化されていない部分」の運用がボトルネックとなってしまい、トータルでの効率化には繋がらない可能性があります。

こうした問題を解決するため、サーバーと同様にネットワークも仮想化が求められているのです。

ネットワークの仮想化のメリット

ネットワークを仮想化することで、以下に挙げるようなメリットが享受できます。

コストの削減

まずは、ネットワーク物理機器の導入やリプレイスなどにかかるコストの削減です。サーバーと同様に仮想化によってハードウェアのリソースの最適化が可能なため、余剰設備を削減できます。保有するハードウェアを減らせるということは、機器の稼働に必要な消費電力や物理的なスペース、さらにはメンテナンスにかかる人的コストの削減にも繋がります。

セキュリティの向上

近年、さらに高度化・多様化しているサイバー攻撃に対応するため、「ゼロトラストネットワーク」という新たなセキュリティモデルが注目されています。

ゼロトラストネットワークを実現し、セキュリティをより強化するには、ネットワークの「マイクロセグメンテーション」化が有効と考えられています。これは、ネットワークを複数の細かいセグメント(ネットワークを構成する最小の単位)に分割して構成することで、万が一、マルウェアに感染したような際にもその影響を最小限に抑えるという考え方です。

しかし、仮想化されていない従来のネットワークでマイクロセグメンテーションを実現するには、仮想サーバーごとに物理的なファイアウォールを新たに設置するなど、ネットワーク構成を変更しなければなりませんでした。これは、運用管理面における負担が大きく、ハードウェアを購入するコストもかかってしまうため、実現へのハードルは高いと言わざるをえません。しかし、ネットワークを仮想化すれば、ファイアウォールの設置やネットワークの構成変更がソフトウェア的に可能となり、マイクロセグメンテーションによるセキュリティの向上も実現しやすくなります。

運用負荷の軽減

仮想化されていないネットワークでは、サーバーとネットワーク機器はケーブルで直接接続する必要がありました。しかし、仮想化することで、物理的な結線を意識することなく、インターネットを介してサーバーと接続ができるようになります。また、仮想化されたネットワークはソフトウェアから制御できるため、各ネットワーク機器の設定が一元管理しやすくなります。定形作業の自動化も可能となるため、運用管理を効率的に行うことができ、これもまた担当者の負荷軽減に繋がります。

柔軟性・俊敏性の向上

冒頭でも述べた通り、現在では激しく変化するビジネスに合わせ、ITインフラの整備にもスピードや柔軟性が求められています。繰り返しになりますが、サーバーの増強やシステムの変更を行う場合は、同時にネットワークの設定や変更が必要となることがあります。この場合、仮想化されていないネットワークでは、機器ごとの配線を変更するなど、物理的な作業が発生するかもしれません。これは手順が煩雑になったり、作業に時間がかかるなど、ITインフラの整備において大きなボトルネックとなってしまうでしょう。

ネットワークを仮想化すれば、こうしたネットワーク機器ごとの作業は不要となり、より迅速なインフラの提供が可能となります。

ネットワークを仮想化するためには

ネットワークの仮想化もサーバーの仮想化と同様に、専用の仮想化ソフトウェアの導入が必要となります。そうしたネットワークの仮想化に使われるソフトウェアの中でも特に有名なものにVMware社が提供する「VMware NSX」があります。

VMware NSXは、複雑なネットワークを一元管理することが可能なネットワーク仮想化プラットフォームです。フルスタックのネットワークに加えて、IDS/IPSといったセキュリティ機能の仮想化も提供しており、設定変更なども単一の管理画面で実施することができるのが特長です。

クラウドで簡単にネットワークの仮想化を実現

サーバーと同様にネットワークも仮想化することで、ITインフラの構築・運用の効率化を実現できます。しかしその一方で、ネットワークを仮想化するためには、前述の仮想化ソフトウェアの導入やポリシーの設定などの作業を行う必要があり、これが導入におけるハードルとなってしまう面は否定できません。

その点、クラウド(IaaS)では、サーバーやストレージ、ネットワークなどのITリソースは、クラウドベンダーによって仮想化された状態で管理・提供されています。そのため、ユーザーが独自に仮想化ソフトウェアを導入して仮想化を行う必要はなく、仮想化済みのネットワークを簡単に利用し始めることができます。またクラウドでは、Web上のコントロールパネルからオンデマンドに、さまざまなネットワーク機能を簡単に管理・設定することが可能です。さらにクラウドでは、ユーザーがハードウェアを調達する必要がないため、リソースの増強や変更にも素早く対応できるのはもちろん、ハードウェアの運用保守からも開放されます。こうしたクラウドの概要については、「クラウドとは~今さら聞けない基本を徹底解説~」もあわせてご確認ください。

ニフクラでは、マイクロセグメント単位で設定できる「ファイアウォール」の機能を無料で提供しています。これにより、ゼロトラストネットワークを構成する重要な要素であるマイクロセグメンテーションによるセキュリティ強化を、低コストで実現可能です。詳細につきましては、「多段階にセキュアなネットワーク構築」をご確認ください。

このほかにも、クラウドには多くのメリットが存在します。詳しくは「クラウドとオンプレミス-それぞれのメリット・デメリットを徹底比較!」をご確認ください。そして、ネットワークの運用管理に課題を感じている方は、ネットワークの仮想化を簡単に実現できるクラウドサービスの利用をぜひ検討してみてください。

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