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技術解説

クラウドの選定ポイントとは

2018年1月16日


クラウドの選定ポイントは

世の中には数多くのクラウドベンダーが存在しており、提供されているサービスの種類もそれぞれ異なります。本記事では、いざクラウドでシステムを構築しようとした際に、どのようなポイントに注目してクラウドベンダーを選定したらよいかを解説します。

クラウド・バイ・デフォルト原則とは

2018年6月、内閣官房IT総合戦略室は「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」において、「政府情報システムはクラウドサービスの利用を第一候補にする」という方針を打ち出しました。システムを構築する際は、「業務の基本属性」「必要なサービスレベル」「サービス・業務の定常性」「業務量」「取り扱う情報」などを明確化した上で、まずはSaaSの利用を続いて、PaaS/IaaSの利用を検討することが推奨されています。そして、いずれのクラウドサービスの利用も困難である場合に限り、従来通りのオンプレミスを選択するとされています。これを「クラウド・バイ・デフォルト原則」と呼びます。

クラウド選定のポイント

クラウド・バイ・デフォルト原則」に従って、クラウドを利用してシステムを構築することになるのですが、提供されている機能やサービスレベルはクラウドベンダーによってまちまちです。そこで、前述の「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」においては、事業リスクを最小化するクラウドの選定要件として、「十分な稼働実績」「サービス終了のリスクが低いもの」「第三者による認証もしくは監査報告」「国内データセンター」「バックアップ環境や災害対策環境」などが挙げられています。

ここでは、実際にクラウドベンダーを選定するにあたり、比較すべきポイントを解説していきます。

費用

まず、最初に注目するべきポイントは費用です。クラウドでは、サーバーのスペックと利用時間に応じて利用料金が発生するのが一般的ですが、それ以外にもデータ転送量やストレージ利用料などが別途課金の対象となることがあります。また、月額上限が決まっていたり、一定期間の継続利用を確約することで割り引きが適用されるなど、課金ルールはベンダーごとにさまざまです。「データ量は少ないが、アプリケーションが高速なCPUを要求する」「アプリケーションの負荷は少ないが、大容量のデータ転送が発生する」「向こう3年間は運用し続けることが決まっている」など、システムがどのようにITリソースを利用するかを明確にした上で、主に利用するサービスの費用が有利なクラウドベンダーを選ぶのがよいでしょう。

また、一般的に自分でIaaS上にシステムを構築するよりも、既存のSaaSを利用する方が安価です。カスタマイズの必要のないサービス(例:メールサービスなど)は、まずはSaaSで要件を満たせるか検討すべきでしょう。

可用性

システムがどれだけ安定して稼動し続けられるかも重要なポイントです。いくら費用が安くても、システム障害が頻発してしまうようでは本末転倒でしょう。システム障害の発生率が低いことはもちろん複数のサーバーを並行稼動させ、サーバーダウン時には自動的にシステムから切り離したり、フェイルオーバーを行えるようなシステムが構築できるか確認しておきましょう。

また、クラウドベンダーのデータセンターそのものが障害を起こす可能性もあります。そのような場合に備え、複数のデータセンターを利用してシステム全体を冗長化し、システムダウンの影響を受けにくいシステムを組めるベンダーを選択するのが望ましいでしょう。

拡張性

クラウドのメリットの1つが、構成の変更や規模の拡大縮小がオンプレミスに比べて手軽に行える点です。将来的にビジネスの内容が変化したり、需要が増大したりした際に適切にシステムを拡張できないのであれば、クラウドを使うメリットがありません。例えば、同時に起動できるサーバーの台数や利用できるストレージの容量などに上限が設けられていると、将来的に事業拡大の足かせになる可能性があります。利用可能なITリソースの制限は、将来的なシステムの規模とあわせて、初期段階から気を配っておく必要があるでしょう。

性能保証

クラウドでは、1台の物理サーバー上に複数のユーザーが利用する仮想サーバーを集約するといった第三者とのインフラの共有が行われますが、これにより性能の低下が発生する可能性があります。クラウドベンダーによっては、「物理サーバーをまるごと占有できる」「CPUコアを占有できる」といった、一定の性能を保証するサービスも用意されています。常に一定以上の性能を要求するシステムなど、性能の低下が許容できない場合は、こうした性能保証サービスが用意されているかを確認しておくとよいでしょう。

サービスの種類

クラウドベンダーは基本となる仮想サーバー以外にも、「リレーショナルデータベース」「オブジェクトストレージ」「CDN」など、さまざまなマネージドサービスを提供しています。例えば、データベースを仮想サーバー上に自分で構築し運用するよりも、日々のバックアップやセキュリティ対策などをベンダーに任せられるマネージドデータベースを利用する方が、運用の手間を大きく削減することができます。

クラウドベンダーによって提供されているマネージドサービスは異なるため、運用の手間を削減するためにも、なるべく構築するシステムに必要なサービスが提供されているクラウドベンダーを選ぶとよいでしょう。

国内法の適用

クラウドベンダーによっては、北米、アジア、ヨーロッパなど、世界中の複数の国や地域にデータセンターを設置している場合があります。この際に気をつけなければならないのが、データがどの地域のデータセンターに保存されるかです。保管しているデータには、その地域の法律が適用されるため、日本では適法な行為が国によっては違法となったり、データを押収されてしまう可能性も否定できません。

そのため、日本国内向けのシステムであれば、日本の法律が適用される日本国内にデータセンターを持つクラウドベンダーを選択するのがよいでしょう。

【まとめ】クラウドベンダーを選択するにあたって

いかがでしたでしょうか。今回、さまざまな選定時のポイントを解説しましたが、上記すべてのポイントが優れているクラウドベンダーを見つけることは難しいかもしれません。そのような場合は、利用用途やクラウドに構築するシステムの特性を踏まえ、重視すべきポイントに優先順位をつけて、検討することをお勧めします。

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