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技術解説

サービスレベルの評価基準「SLO」とは

2019年3月14日


サービスレベルの評価基準「SLO」とは

通信サービスやクラウドサービスにおいて、事業者が自社のサービスレベル(サービス品質)に関する目標・評価基準を定めたものを「SLO(Service Level Objective)」と呼んでいます。

SLOと似たような用語として「SLA(Service Level Agreement)」がありますが、こちらはサービスレベル契約とも呼ばれており、事業者がユーザーに対して提供するサービスの内容や範囲、サービスレベルの水準が記載され、事業者がユーザーにどのレベルまで品質を保証できるかを明示したものであり、SLA対象サービスの月間稼働率が、規定の稼働率に満たなかった場合のルール(返金など)も含めて合意(Agreement)するものです。近年、SLAに加えて、SLOを定義するクラウド事業者が増加しています。ここでは、SLAとSLOの違いと、SLAを設定する事業者が増えている背景について解説します。

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SLOとは何か?SLAとの違いは?

クラウドサービスにおける「SLA(Service Level Agreement)」と「SLO(Service Level Objective)」の違いをご説明します。

「SLA(Service Level Agreement)」は冒頭で述べたように、サービスレベル契約と呼ばれるもので事業者とユーザーの合意事項です。SLA対象サービスの月間稼働率が、規定の稼働率に満たなかった場合は返金・減額などの対応が行われます。

「SLO(Service Level Objective)」は、事業者が定義・合意したSLAを履行するために、サーバーやネットワーク、ストレージなどの各領域の稼働率、性能、可用性、セキュリティ、サポートといった項目ごとに、パフォーマンスの目標値を表したものです。

事業者の立場では、これを公開することで数値的な目標を共有することができる、優先順位を決めやすくなる、ステークホルダーからの過剰な要求(達成不可能な品質を求められる)から自社やチームを守ることができる、といったメリットがあります。

ユーザーの立場から考えると、SLAを達成するための評価基準や数値目標がカテゴリーごとに具体的に設定されていれば、「期待できる信頼性のレベル(期待値)」を事前に確認・認識することができます。ユーザーが重要視している領域のSLOが必要十分な数値であること、すなわちその期待値が自社が求める品質と合致しているかどうかをクラウドの選択基準とすることで、ミスマッチの防止に役立ちます。

SLOはどのように設定されているのか?

では、SLOではどのようなことが目標として設定されているのでしょうか。クラウドサービスにおいて重要視されている設定例としては、サービスの可用性が挙げられます。可用性は、ユーザーがそのシステムを利用できているか?という意味になりますが、可用性を担保するための数値目標と して代表的なものは、サーバーなどの稼働率です。

例えば、月間の稼働率99%以上がSLAに定められている場合、SLOは月間稼働率99%以上の数値目標を設定しなければなりません。99%以上の稼働率をユーザーと合意しているため、それを満たさない場合は、返金などのペナルティーが発生するからです。

注意しなければならないのは、SLOの目標値を100%にするのは不可能であることです。また、ユーザーにとって重要でない部分に高いSLOを設定すべきではなく、最優先で取り組むべき課題をSLOに数値目標として設定するのが適切です。

ニフクラのサービスレベル目標(SLO)例

  • 可用性および信頼性:計画停止やサービス稼働率のほか、障害の告知方法などについても定められています。
  • 性能:ディスクI/Oやスイッチのメンテナンス時の無応答時間などが定められています。
  • セキュリティ:準拠するセキュリティ規格などが定められています。
  • 作業品質:手順書の遵守などが定められています。
  • サポート:サポート提供時間などが定められています。

詳細につきましては、サービスレベル目標(SLO)についてについてをご確認ください。

これらのSLOを詳細に見ていくことで、ユーザーはクラウドの品質を知ることができ、どのくらいの稼働率が期待できるかなどの把握が可能になります。クラウドの選定時により自社の要件に適したサービスを見つけ出すためにも、SLOに注視することは重要なポイントの1つと言えます。

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