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生成AI(Generative AI)とは

2024年2月14日


生成AI(Generative AI)とは

ここ数年、「AI」が非常にホットなトピックスとなっています。AI自体は非常に幅広い概念なのですが、その中でも最近注目されているのが、「生成AI」と呼ばれるタイプのAIです。本記事では、生成AIについて解説します。

生成AIとは

生成AI(Generative AI)とは、文字通りAI(artificial intelligence、日本語では人工知能)の一種です。AIの中でも、あらかじめ学習した大量のデータに基づき、新しいデータを「生成」するタイプのAIを特に「生成AI」と呼んでいます。代表的な生成AIの実装としては、テキスト生成AIの「ChatGPT」や画像生成AIの「DALL-E」などが有名です。

生成AIの仕組み

生成AIの実現には、マシンラーニング(機械学習)の一種である「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる学習手法が活用されています。

そもそも機械学習とは、学習データをコンピューターに学ばせ、その学習結果を元に新しいデータに対して予測や意思決定を行う仕組みのことです。学習の結果から、コンピューター自身が最善の回答を探し出していくことで、人の手によらず、新たなデータを生み出すことができます。そして、機械学習の中でも生物の神経網を模した人工のニューラルネットワークを用い、高度なパターン認識を行う学習手法が深層学習と呼ばれています。

生成AIが登場する以前からもAIと呼ばれる技術は存在していました。こうした従来のAIと生成AIの大きな違いには、学習方法とその利用目的が挙げられます。従来のAIは、与えられたデータからパターンやルールを学習し、未知のデータに対する予測や判断を行います。そのため、データの分類・予測や意思決定など、特定の問題に対する最適解を求めることに適しているという特徴があります。従来のAIの代表的な利用用途としては、画像分類・音声認識・自然言語処理などがありました。これに対して、生成AIは与えられたデータの背後にある潜在的な構造やパターンを学習し、それを元に新たなデータを生成することを主目的としています。生成AIは、画像生成・文章生成・音声合成といった、クリエイティブな用途に利用されています。

生成AIの基本的な流れは、以下の通りです。まず、AIに文章や顔写真、音声データといったデータセットを大量にインプットし、これらのデータから潜在的なパターンや特徴を学習させます。これにより、データの生成に関する知識が「学習モデル」として蓄積されます。生成AIは、この学習したモデルを元に新たなデータを生成するのです。ただし、そのまままでは同じ入力に対する出力は常に似通ってしまいます。そこで、データ生成の際にはランダムノイズや潜在的なベクトルを挿入し、生成データに多様性を持たせられるよう工夫されています。

生成AIの利用シーン

前述のように、生成AIは新しいコンテンツの作成といったクリエイティブな目的に利用されています。よく利用される分野としては、画像生成・文章生成・音声合成が挙げられます。

画像生成

生成AIは学習した写真から、リアルな風景や新しい顔画像を生成することができます。画像の生成は見た目のインパクトが強く、生成AIのプロモーションとしても有効であるといった理由もあり、生成AIがもっともよく利用される分野の1つとなっています。

AIによる画像生成は、プロンプト(AIに指示する文字列)から新しい画像を生成できることが注目されがちですが、実は既存の画像の一部を変更することも得意としています。入力としてプロンプトの代わりに画像を与え、目的となる別の画像を得る変換タスクは「Image to Image(i2i)」と呼ばれます。i2iを活用すれば、「AIによって生成された画像に人間が修正を加えて、より精度の高い画像を生成する」といったことも可能になります。

文章生成

生成AIは、テーマやコンセプトに基づいて文章を自動生成できます。また、生成するだけではなく、入力された文章の添削や言い換えも可能なため、ブログ記事や小説の執筆支援、長い文章の要約といった目的にも利用できます。最近では、記事内容の要約をAIで生成するボタンを設置したWebメディアも存在します。

音声合成

音声生成モデルを使うことで、入力したテキストを自然な音声に変換することができます。例えば、オーディオブックを制作しようとすると、従来であれば人間がテキストを読み上げ、それを録音して編集する必要がありました。これは非常に大きな手間ですが、生成AIを活用すれば、非常に効率よくテキストの音声化が可能になります。また、対話可能な音声アシスタントといった利用方法もあります。

生成AIとクラウドの関係性

生成AIを動かすには、大量のデータを保存するストレージや膨大な計算処理を行えるだけの計算能力が必要となります。こうしたハードウェアは非常に高価なため、オンプレミスで調達しようとすると、かかるコストも大きくなってしまいます。そのため、リソースをオンデマンドに調達し、柔軟にスケールできるクラウドの利用が向いています。

また、クラウドベンダーによっては、専用のAIサービスやプラットフォームを提供している場合もあります。こうしたサービスには、生成AIモデルのトレーニングや推論をサポートするためのツールやリソースが含まれており、開発者は専門的な知識が無くても、手軽に生成AIを利用できます。

生成AIの課題

生成AIには多くのメリットがありますが、その反面、以下のような課題や倫理的な問題も議論されています。そのため、生成AIの利用にあたってはこれらの点を理解した上で十分に配慮する必要があるでしょう。

バイアスと公平性

生成AIが学習に利用したデータセットに偏りがあった場合、生成されるデータにもその偏りが反映される可能性があります。例として、特定の人種や性別に対する偏見が反映されてしまうといった問題が指摘されています。

生成データの正確性

生成AIが作成したデータの正確性や信頼性は、一切担保されていません。そのため、「自分が知らないこと」をAIに出力させ、その出力を鵜呑みにして利用するのは非常に危険だと言えるでしょう。生成されたデータに対しては、ファクトチェックを必ず人の手で行う必要があります。

著作権などの権利侵害

すでに存在している作品と著しく類似していたり、同一と見なされるコンテンツが生成されてしまう可能性があります。そのため、著作権や意匠権、パブリシティー権といった権利を知らずに侵害してしまう恐れがあります。

情報漏洩のリスク

AIは入力として与えられた情報を学習します。そのため、うっかり個人情報や機密情報を入力すると、これらの情報をAIが覚えてしまい、ほかのユーザーに回答として提示されてしまう可能性があります。例えば、業務の支援に生成AIを活用していると、気づかないうちに機密情報を社外に漏洩してしまう恐れがあります。

まとめ

生成AIの登場は非常に画期的であり、特にクリエイティブな領域におけるゲームチェンジャーであると言えるでしょう。デジタルの未来を切り開く新たな可能性を持っている技術であることは間違いなく、それゆえ急速に普及が進んでいます。

しかし、非常に便利な反面でまだAI利用におけるルール作りや法整備が追いついておらず、どのように活用していくべきか議論が行われている状態でもあります。リスクや注意点を正しく理解した上で、活用していくことが重要です。

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