本文へジャンプします。

TOP

用語集

L2延伸とは

2019年8月20日


L2延伸とは

L2延伸とは、L2(レイヤー2、データリンク層)ネットワークを延伸する技術です。

オフィス内にあるコンピューター同士は、L2のネットワークをイーサネットで接続しているのが一般的です。同じネットワーク内にあるコンピューター同士はルーターを介さずに直接通信することができますが、異なるネットワークに接続されたコンピューターとは、ルーターを介さずには通信することができません。例えば、全国各地に複数の拠点が散らばっているようなケースでは、拠点間をまたいだ通信はできないのです。

こうした異なるネットワーク同士を統合して、1つのL2のネットワークのように見せかける技術がL2延伸です。複数のネットワークを統合することで、同じサブネットのIPアドレスを全体で利用できるなどのメリットがあります。

本記事をご覧いただいた方向けに、おすすめの記事をまとめました。こちらもあわせてご確認ください。

ネットワークセグメントとは

前述の社内LANのように、L2で接続されたネットワーク(同じL2スイッチに接続されているネットワーク)内では、コンピューター同士はルーターを介さず直接通信することができます。このような直接通信できる範囲(同一のサブネットに所属し、ブロードキャストパケットが届く)をネットワークのセグメントと呼びます。

異なるセグメントと通信を行うためには

L2での通信はネットワークのセグメントを越えられません。そのため、異なるセグメント間で通信を行うには、間にL3のネットワーク機器であるルーターを設置し、パケットを適切にルーティングする必要があります。

TCP/IPでの通信では、IPアドレスで宛先を特定します。送信元と送信先のネットワークで設定されているIPアドレスのセグメントが異なる場合は、送信元と送信先が異なるL3ネットワークに所属していることを意味します。例えば、拠点Aのネットワークが「192.168.1.0/24」のアドレスを持ち、拠点Bのネットワークが「192.168.2.0/24」のアドレスを持っている場合です。

これは言いかえると、セグメントをまたいでコンピューターを移動させると(異なるネットワークに所属することになるため)、IPアドレスを変更しなければならないということです。もしも、サーバーを別の拠点に移したいようなことがあった場合は、さまざまな設定変更が必要となってしまうでしょう。

複数のネットワークを統合する「L2延伸」

ハイブリッドクラウドには、オンプレミスのデータセンターとクラウドという、異なるプラットフォーム同士を接続する構成があります。パブリッククラウドのみで構成されたシステムで、耐障害性を高めるために複数の地域(リージョン)にシステムを分散させて冗長化を行うのはよくある構成です。また、稼働中の仮想サーバーをできるだけ活かしたまま、ほかのサイトに移動させるようなこともあるでしょう。

こういった異なる拠点間を接続する際、ネットワークごとに異なるIPアドレスを利用するような面倒な運用を避け、迅速な対応を行うには、L2で直接接続する必要があります。これはL2延伸と呼ばれる方法です。この場合、複数拠点で同一のサブネットを利用できるため、IPアドレスを変更する必要がなくなります。拠点ごとのネットワークを1つの仮想的なスイッチに接続して、巨大なLANを作ることをイメージするとわかりやすいでしょう。L2延伸で拠点間を接続しておけば、オンプレミスのサーバーをIPアドレスを変更せずクラウドに移設することも可能になります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加