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用語集

リージョン/ゾーンとは

2019年11月11日


リージョンとは

ハードウェアの存在を意識せずに利用できるクラウドサービスですが、その裏側には物理的なサーバーやストレージが存在し、クラウドベンダーのデータセンター内で運用されています。

クラウドベンダーは複数のデータセンターを持っており、クラウドサービスは複数のデータセンターを跨いだ形で構成されているのが一般的です。こうしたデータセンターは地理的なエリアごとに「リージョン」や「ゾーン」という単位に分割して運用されています。

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リージョンとは

データセンターが存在する独立した地域のことを「リージョン」と呼びます。それぞれのリージョンは地理的に離れた場所に設置されており、大手のクラウドベンダーであれば日本国内、あるいは世界各国に複数のリージョンを運用しているのが一般的です。例えばニフクラでは「東日本リージョン」「西日本リージョン」「北米リージョン」の3つのリージョンが用意されています。

各リージョンは完全に独立したシステムとして動作しており、互いに影響を及ぼしません。例えば、あるリージョンが停電によって停止してしまったとしても、ほかのリージョンはそれとは関係なく稼動し続けます。しかし、完全に独立しているがゆえにベンダーによっては、リージョンを跨いでロードバランサーによる負荷分散はできないといったデメリットも存在します。

そして、リージョンはさらに小さな「ゾーン」という区画に区切られています。

ゾーンとは

1つのリージョンの中をさらに複数の区画に分割したものを「ゾーン」と呼びます。各リージョンには1つ以上のゾーンが用意されており、ユーザーは利用するリージョンとゾーンを選択して、仮想サーバーやストレージを構築します。

リージョンがそれぞれ独立しているように各ゾーンもまた完全に別のシステムとして運用されています。同一リージョン内であっても、ゾーンが違えばサーバーの収容されているラックや電源、ストレージなども物理的に分離されています。そのため、ラック単位での電源の故障やネットワークの障害などが発生したとしても、ほかのゾーンには影響を与えないようになっています。

ゾーンは、ベンダーによって呼び名が異なる場合があります。概念としては同じものですが、例えばニフクラでは「ゾーン」、AWSでは「アベイラビリティゾーン(AZ)」と呼んでいます。

リージョン/ゾーンを選ぶ際のポイント

クラウド上にシステムを構築するにあたり、まずは複数のリージョン/ゾーンの中から利用するゾーンを選択しなければなりません。リージョン/ゾーンはどのような基準で選択したらよいのでしょうか?

最初に考えなければならないのは、システムを利用するユーザーとの物理的な距離です。地理的に離れた地域にあるリージョンは通信のレイテンシーが大きくなるため、なるべくユーザーと近い地域にあるリージョンを選択しましょう。日本国内向けのサービスであれば、当然日本国内のリージョンが第1候補となります。

しかし、場合によっては、リージョンやゾーンごとに提供されているサービスが異なる場合があります。国内向けのサービスであったとしても、必要な機能が海外リージョンでしか提供されていないような場合は、あえて海外リージョンを選択するということもあるでしょう。「いざシステムを構築してみたら必要な機能が足りなかった」ということがないよう、自分の利用したい機能・サービスがそのリージョンで提供されているかをきちんと確認しましょう。単に近いからという理由だけでリージョンを決定しないよう注意してください。なお、ニフクラのリージョン/ゾーンごとの機能対応表はこちらから確認できます。

また、クラウド上のデータには、そのリージョンが存在する国の法律が適用されることがあります。そのため、海外のリージョンを利用する場合は、必ずそのサービス契約の準拠法を確認するようにしましょう。場合によっては、保管するデータを国外に移転する際に制限を受けたり、データを差し押さえられるリスクも考慮する必要があります。

リージョン/ゾーンを活用した可用性向上

冒頭でも記載したように、クラウドサービスの裏側には物理的なサーバーやストレージが存在しています。そのため、クラウドベンダー各社はハードウェアの故障による障害を防ぐために冗長化やHA機能など可用性を向上させるさまざまな対策を取っています。

しかし、サーバーやストレージを冗長化していても、それらのハードウェアを格納しているラック全体、あるいはデータセンター全体が停止してしまえば、そのシステムは機能しなくなります。このような大規模障害に備えるには、複数のゾーン/リージョンをまたいでシステム全体を冗長化したり、別のリージョンにバックアップを用意しておくといった対策が有効です。特に日本では地震や台風といった広範囲に影響を及ぼす自然災害が無視できない頻度で発生するため、バックアップ用に敢えて遠距離にあるリージョンを利用するという選択肢もあります。

オンプレミスにはない「リージョン」「ゾーン」という概念を組み合わせ、柔軟にシステムを構築できるのがクラウドのメリットの1つです。要件に応じて適切なシステム構築を行いましょう。

なお、利用するクラウドベンダーによっては、ゾーン間やリージョン間のデータ転送に課金が発生する場合もあります。複数のリージョン/ゾーンを跨いだシステムを構築する際は、利用料金が意図せず高額になってしまうということがないように料金体系をしっかりと確認しておきましょう。

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