ニフクラ ハイブリッドクラウドストレージサービス事例「StorSimple」
ハイブリッドクラウドストレージサービス「StorSimple」の「ニフティクラウドストレージ」連携について、マクニカネットワークスの高柳氏、岡本氏にインタビューを行いました。
高柳 洋人 氏
マクニカネットワークス株式会社 第4営業統括部 第2部 第2課 課長
ハイブリッドクラウドストレージサービス「StorSimple」営業担当
岡本 健 氏
マクニカネットワークス株式会社 技術統括部 プロダクト技術1部 第3課 課長
ハイブリッドクラウドストレージサービス「StorSimple」技術担当
——データ重複を排除し、利用頻度に応じて効率良く保管する特許技術
富士通クラウドテクノロジーズ(旧:ニフティ)※以下、FJCT:「StorSimple」の製品概要をお聞かせください。
高柳氏:一般的に、企業が使うデータの量は増加の一途を辿り、またそれを保管し続けなければならないという課題もあります。古いデータをテープに記録して、それを金庫に保管する。金庫のカギは誰かが保管しなければならない――となると、非常に管理が面倒で、復旧自体も時間がかかってしまうというのが現状です。こうした課題を解消すべく生まれたのがStorSimpleです。2UのアプライアンスにSSDとHDD(SAS)を搭載し、外部のクラウドへの保存も可能にしたハイブリット型クラウドストレージです。この製品は2007年に設立した米国の企業StorSimple, Inc.が開発したものです。
FJCT:アメリカではどのような実績がありますか?
高柳氏:StorSimpleはアメリカで2010年の1月にリリースされ、Microsoft社と協業して、Microsoft SharePointやMicrosoft Exchangeとともに販売するというモデルが成功しています。それから徐々にバックアップやDR用途に使われるという事例も出ています。
FJCT:製品の特長をもう少し詳しく教えてください。
高柳氏:企業で扱うデータのうち、保管用のデータはどんどん増えていきますが、最新データというのはそれほど増えません。メールを例にしますと、ここ1~2週間ほどのメールはよく見ますが、3カ月前や1年前のメールはあまり参照しません。StorSimpleはこのような差異に着目し、全データのうち、よく使う10%程度は高速なSSDに、25%はHDD、残りは外部のクラウドストレージと、データの利用頻度・参照回数・作成日・更新日などのパラメーターを判断して、自動的に保存先を決めます。
岡本氏:iSCSIを通じてSSDで受け取った生データは、まずブロック単位で重複をチェックし、重複部分が削除して保存されます。そして、SSD側で保存できる容量のうち、一定のしきい値を超えたデータは、優先度の低いものから圧縮されてHDDに保管されていきます。さらにHDDのしきい値を超えた場合は暗号化を施してクラウドストレージに保存されます。クラウドストレージに保存されたデータが参照された場合は、再びSSDに展開されます。データのブロック単位での重複削除と優先度を決定する技術は、「Block Rank(ブロックランク)」と呼ばれるもので、特許も取得しています。
FJCT:ファイル単位ではなく、ブロック単位の管理というのがポイントですね。
岡本氏:はい。ファイル単位の管理ですと、ファイルの名前が違えば、たとえその内容にあまり差異がない場合でも、全く違うものとみなしてしまいます。データを細かく裁断してブロックに分けて、重複するものを排除することでより効率的に保存できます。
StorSimple
——クラウドストレージに対する課題を解消し、災害時の迅速な事業継続もサポート
FJCT:米国では、現地のクラウドサービスに対応されているようですが、国内展開にあたり、ニフティクラウドストレージを選択された理由を教えてください。
高柳氏:やはり企業のデータとなりますので、日本企業である富士通クラウドテクノロジーズ(旧:ニフティ)のブランドが、お客様にとっては一番の安心材料であると思っております。
また、外部アプリからクラウドへ接続するためのHTTPS/RESTインターフェースのAPIの有無があります。ニフクラ(旧:ニフティクラウド)はこれをサポートしていますので、要件を満たしていました。
さらに、ニフティクラウドストレージは容量無制限のためスケーラブルに利用できる点、通信業者が提供するクラウドならではのレイテンシーの低さとトラフィックやトランザクションを気にせずに利用できる点も魅力でしたね。
セキュリティ面の課題は、筐体の電源・コントローラー・ディスクといった物理的な冗長構成と、ニフティクラウドストレージへ保存する際のデータ暗号化で解消されます。普段使うデータはSSDにより高速アクセスできるため、パフォーマンス面の課題をクリアしており、データの重複削除と圧縮によって、ニフティクラウドストレージ側の従量課金コストも軽減されます。
FJCT:どのような用途を想定されていますでしょうか?
高柳氏:そうですね。バックアップのほか、災害対策としても利用可能です。プライマリーサイトに設置し、一般的なアプライアンスと同様にコンフィグやキーを保管します。いざ災害が起きたときには、代替サイトにStorSimpleを設置し、プライマリーサイトで使っていたコンフィグやキーによって、クラウドに貯められたデータを呼び戻すことができます。StorSimpleの設置は15分もあれば可能ですので、データを失うことなく瞬時に事業を継続できます。
岡本氏:StorSimpleにはプライマリーのボリュームのスナップショットをクラウド側に保管する機能があります。これは従来のエンタープライズで使われるディスクバックアップのイメージがクラウドにあるという感じです。また、重複排除・圧縮したデータのフルコピーをクラウドに保管する「クラウドクローン」という機能があります。これは、従来の運用でいうと、物理テープを金庫に保管するオフサイトバックアップの代替です。
FJCT:どのような企業におすすめでしょうか?
高柳氏:クラウドストレージのニーズは、データのアーカイブ目的、バックアップ、そして災害対策と、大きく分けて3つの用途が考えられます。毎年ストレージに投資している企業には大きなニーズがあると思います。企業の規模よりも扱うデータ量ですね。
なお、弊社も参加しておりますが、顧客への導入提案には、パートナープログラムに参加しているSI企業の存在が必要不可欠です。SI企業の方々に、新しいソリューション提案の一部としてStoreSimpleを提案いただければと考えております。
そして、富士通クラウドテクノロジーズ(旧:ニフティ)、SI企業と三位一体となってこの市場を盛り上げて行きたいと考えております。
FJCT:本日はどうもありがとうございました。
StorSimple [ハイブリッドクラウドストレージサービス]
昨今、企業間の電子データは増大しており、保管するストレージシステム構築には多大なコストが必要。従来ストレージの考え方を一新しクラウドと連携するストレージ製品「StorSimple」がニフクラ(旧:ニフティクラウド)と連携し最適なクラウドストレージを実現。クラウドにデータを保管する事によりDR対策としても活用可能。※2015年7月にて販売終了
企業情報
マクニカネットワークス株式会社
マクニカネットワークスは、セキュリティ製品を中心に、ネットワーク最適化、運用管理やグリーンIT、仮想ソリューションといったネットワークに付加価値を与える最新のテクノロジーを提供します。
- ※注製品名および会社名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
- ※注当社は、2017年4月1日にニフティ株式会社から富士通クラウドテクノロジーズ株式会社に社名を変更いたしました。
また、2017年11月1日にニフティクラウドからニフクラにブランド名称を変更いたしました。 - ※注本インタビューは2011年9月2日に行いました。2011年9月2日現在の情報です。
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