ニフクラ 多店舗運営業務システム事例「Shopらん」
株式会社ドリーム・アーツ様(以下、ドリーム・アーツ)に、多店舗運営を革新するクラウドサービス「Shopらん(※注)」の基盤として、「ニフクラ(旧:ニフティクラウド)」を採用していただきました。
この度、ドリーム・アーツの石田氏に「ニフクラ(旧:ニフティクラウド)」を採用するまでの流れについてインタビューを行いました。
石田 健亮 氏
株式会社ドリーム・アーツ 経営企画本部 新規事業推進室 グループマネージャー
1998年東京大学工学部卒、同大学院中退。2000年、株式会社ドリーム・アーツ入社。
同社の中心的なエンジニアとしてパッケージソフトからカスタムメイドのソフトまで多くの製品、サービス開発に従事現在は、日本の小売業全体の生産性向上に寄与することを目指し、店舗・本部間のコミュニケーションに革新をもたらす「Shopらん」をサービス化、プロダクトマネージャーとして、日々あるべきコミュニケーションとは何かを探求している。
——お客様のビジネスの伸びに合わせてコンピューティングリソースを最適化したい
富士通クラウドテクノロジーズ(旧:ニフティ)※以下、FJCT:「Shopらん(※注)」サービス化の経緯を教えていただけますか?
石田氏:「Shopらん(※注)」は、流通・小売業の本部・店舗間のコミュニケーションに特化したクラウドサービスです。もともとはあるアパレル企業向けの社内システムとして開発したものを、ほかの企業様からも引き合いが相次いだためパッケージ化したのが原型です。パッケージ化したものの、当初はオンプレミスを前提にしており、お客様ごとにサーバーをセットアップしたりシステム運用を行ったりといった、インテグレーション作業に思いのほか手間がかかり、弊社の人的リソースの問題もあり期待したほどの普及速度が得られませんでした。そんな中、SaaSとしてソフトウエアを提供すれば我々の本質的な価値を損なわずにより多くのお客様にお届けできるのではと思い、2008年にサービスとして提供を開始した次第です。
FJCT:ニフクラ(旧:ニフティクラウド)ご検討の経緯は?
石田氏:2008年当初からこれまではIDCを契約して物理サーバーを購入し、サービス提供のためのインフラを準備していました。わかっていたことですが、物理サーバーですとやはり調達までに時間がかかることから将来の需要予測にあわせて準備していかねばならないので、購入してしばらくの間はキャッシュを生み出さないムダな投資になってしまいました。またサーバーの性能は急速に進化していきますので、購入した物理サーバーが実戦に投入されるころには旧モデルとなり、今なら半分の台数で済むのにと悔しい思いをしたりしていました。そこで、我々のビジネスの進展に合わせて必要な分だけコンピューティングリソースを仕入れて在庫を持たないようにしたいと思い至りました。我々は、コンピューティングリソースを必要なだけオンデマンドで仕入れて、付加価値であるソフトウエアを載せてサービスとしてそれをお客様にご提供するサービス事業者です。そんなサービス事業者が抱える課題を解決する手段がニフクラ(旧:ニフティクラウド)でした。
FJCT:他社様と比較検討はされましたか?
石田氏:Amazon EC2(※注)と比較検討しました。
FJCT:決定的な違いは?
石田氏:ネットワークレイテンシーですね。業務アプリであってもパフォーマンスは非常に大事です。「Shopらん」は性能目標を100msにおいてチューニングしてきていますので、国内のネットワークからの往復だけで100msかかってしまう海外のデータセンターですと、ネットワークの時間だけでそれを食いつぶしてしまいます。これだとせっかくアプリをチューニングしても体感的には変わらないレベルになってしまいますので。
Shopらん
——物理サーバーからニフクラ(旧:ニフティクラウド)への移行
FJCT:移行はスムーズに行えましたか?
石田氏:苦労しましたよ(笑)物理サーバーのキャパシティ不足ですぐに増設か移行をしなければいけない状況にあったのですが、移行を決定してから実際にデータを移行するまでに3週間を要しました。サーバー構築やソフトのインストールは1週間ほどでできましたが、お客様が24時間365日利用されている中で膨大なデータをどう移すか、その手法を編み出すのに時間がかかりました。
FJCT:サービスを停止させずに移行されましたか?
石田氏:データベースにMySQLを使っているので、レプリケーション機能をつかって差分が小さな状況にしておいて、深夜に3時間ほど停止して一気に切り変えて移行しました。IPアドレスが変更されることの事前通知はしましたが、深夜ということもあり、お客様によってはインフラが移行されたことに気づかれなかった方もいらっしゃったかもしれません。
FJCT:その他にクラウド特有のご苦労はありましたか?
石田氏:パブリッククラウド上でのSaaS運用に関する参考になる事例が少なかったので、メンテナンスの手法が課題でした。今まではVPN回線でメンテナンス用の内部ネットワークに接続してメンテナンスしていましたが、クラウドの場合、どのようなルート、またどのような運用ルールを利用するかで悩みました。セキュリティを担保しつつ守りやすいルールを策定するバランスを現在も調整中です。
——3つの効果
FJCT:ニフクラ(旧:ニフティクラウド)ご採用の効果は?
石田氏:前述のネットワークレイテンシーの他に3つ挙げられます。一つ目はサーバー構築のスピード。次にお客様のアクセス増減にあわせてサーバー台数を柔軟に変えられるところ。最後はAPIですね。
「Shopらん(※注)」は業務システムですので、毎日一定のリズムを刻みます。例えば毎朝始業のタイミングで負荷のピークが訪れます。たった数分間ですが、一日のトラフィックのかなりの割合を占めます。ピーク時と平常時の差はかなり激しいですね。これまで物理サーバーでは、このピークにあわせてサーバーをサイジングしていましたので、平常時にはかなり空きがありました。現在、ニフクラ(旧:ニフティクラウド)のAPIを使ってオートスケールを実現してピークにあわせてサーバー台数を増減させて、急激な負荷の増大に対する安全性とコストの削減を同時に実現できるように準備を進めています。
FJCT:既存の物理サーバーからクラウドへの移行も検討されますか?
石田氏:今後増加するサーバーについてはクラウドからの調達を第一に考えています。しばらくは物理サーバーを買うことはないと思います。
——今後の展開
FJCT:今後の「Shopらん(※注)」の展開についてお聞かせいただけますか?
石田氏:「Shopらん」はお客様のご要望の実現やサービス品質の向上のため、3か月に1度ぐらいのペースで定期バージョンアップしています。実は3月にもフランチャイズの経営者様向けに新機能を拡充するバージョンアップを予定しています。
今までは、サーバーインフラに関しての運用業務もこなしながらのバージョンアップでしたが、今後はクラウドによって運用がだいぶ楽になりましたので、よりサービスの付加価値の部分に注力できるようになってきています。新機能の追加ペースも上がるかもしれません。
FJCT:クラウドのもたらす未来をどのようにお考えですか?
石田氏:今後は企業やエンジニアの得意分野の分業がさらにすすむのでしょうね。我々のようなアプリケーション屋としましては、ネットワークやハードウェアについては面倒みたくないというのが本音です。いままではどうしてもそこに時間をかけざるを得ませんでしたが、今後は水道のように蛇口をひねればコンピューティングリソースが調達できる時代だと思います。必要に応じてサーバーが調達できるとなると、アプリでどのような価値が提供できるのかという思考を持つエンジニアがその強みで圧倒していくようになるのでしょうね。ニフクラ(旧:ニフティクラウド)がこの分業に益々貢献していくことを期待します。
FJCT:本日はありがとうございました。
Shopらん [多店舗運営業務システム]
Shopらん(ショップラン)は、多店舗運営における本部と店舗間の情報共有とコミュニケーションを促進するSaaSソリューションです。コミュニケーションの質を向上することで、店舗の販売力を強化します。
企業情報
株式会社ドリーム・アーツ
さまざまな業界の大企業、官公庁などで幅広く活用されている、企業情報ポータル型グループウエア「INSUITE Enterprise」、WEBデータベース「ひびきSm@rtDB」などの製品の企画・開発・販売をはじめ、企業情報ポータル、グループウエアといったカテゴリを超えた情報系システム全般を包括するソリューションを提供している。
- ※注製品名および会社名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
- ※注当社は、2017年4月1日にニフティ株式会社から富士通クラウドテクノロジーズ株式会社に社名を変更いたしました。
また、2017年11月1日にニフティクラウドからニフクラにブランド名称を変更いたしました。 - ※注本インタビューは2011年2月3日に行いました。2011年2月3日現在の情報です。
その他の業務利用事例
-
シンプルで直感的な操作性と優れた信頼性により、迅速なサーバ構築と容易なインフラ移行を実現
-
LPガスのWeb決済サービス提供の基盤としてセキュリティと信頼性に優れたニフクラを選択
AZCLOUD SaaS teraServation(株式会社富士通)
コストパフォーマンスに優れ、セキュアで可用性の高いSaaS提供基盤