ニフクラ DRサービス事例「ECNex」
ネットワールドクラウドのDRサービスを採用し、ビジネスを災害から守る
シネックスインフォテックは、東日本大震災を機にDRサイト構築の検討を始めた。外資系のクラウドサービスでほぼ決まりかけたが、機能面で問題があり導入を断念。最終的に、ニフクラ(旧:ニフティクラウド)がOEM提供しているネットワールドクラウドの「DRサービス with VMware vCloud® Air™ Technology」を選定した。これにより、導入やバックアップ、フェイルバックが容易な、VMware環境のDRサイトをクラウド上に安価に構築でき、ビジネスの継続性を高めることができた。
大原 伸裕 氏
シネックスインフォテック株式会社 情報システム部門 情報サービスグループ長
小林 充幸 氏
情報システム部門 インフラ管理グループ
——基幹システムのDRサイト構築を目指すも、 使えるサービスの選定に難航
IT関連の専門商社であるシネックスインフォテックは、2010年12月に米国の「SYNNEXグループ」の傘下に入ることとなった。そのため、社内の基幹システムをワールドワイドで利用する独自ERPへと移行することとなったが、移行中の2011年3月に東日本大震災が起きる。危機感を持った米国の本社から、DR(災害復旧)サイトを構築するよう指示が入った。
そこで検討を始めたが、その選定は非常に難航した。シネックスインフォテック株式会社 情報システム部門 情報サービスグループ長 大原伸裕氏は、その経緯について次のように語っている。「当初アメリカ本社のデータセンターにホスティングする方針でしたが、費用が高くつくことがわかり、クラウドの検討を始めました。そこで、外資系2社のクラウドを検討し1社に決めかけたのですが、有事の際にDRに切り替えることはできても、フェイルバックができず、戻せるようにするにはかなり費用がかかることがわかり、一旦断念しました」。
これらのクラウドサービスには、もうひとつ問題があった。いずれもサブネットのIPアドレスを選べず、割り当てられる仕様だったのだ。シネックスインフォテック株式会社 情報システム部門 インフラ管理グループ 小林充幸氏は、「IPアドレスが変わってしまうと、海外拠点とかぶる可能性が高いため使うことができません。カタログなどではIPアドレスのことまではわからず、実際にテストをしてみて初めてわかりました」と語っている。
その後、なかなか解決策が見つからないなか、大原氏は、2014年に同社が利用する仮想ソフトウェア基盤VMwareのイベントに参加した。その際、同年日本への進出が決まっていたVMwareのクラウドサービス「vCloud Air」のDRサービスを利用すれば要件を満たしたDRサイトを構築できるとの感触を得て、テストを開始。いくつか調整は必要ながらも、概ね問題ないことがわかり利用を決定した。
——VMware環境の唯一のクラウドDRサービス
ようやく目途が立ち始めていた同社のDRサイト構築だが、東日本大震災から5年を経た2016年初頭、またも新たな試練が立ちふさがった。VMwareが、vCloud Airを2017年3月末で日本から撤退すると決定したのである。既にイニシャルテストが終了し、本格的なテストに入る寸前のことであった。
そこで、VMwareから紹介されたのが、ニフクラ(旧:ニフティクラウド)がOEM提供しているネットワールドクラウドの「DRサービス with VMware vCloud® Air™ Technology(以下DRサービス)」である。「ネットワールドクラウドが、vCloud AirのDRサービスと同様に使える唯一の選択肢ということで、すぐに決めました」(大原氏)。
DR基盤が確定した同社は、2016年9月から機能確認を開始。10月末からIT部門で毎週日曜にテストを行った。小林氏は、「テストをするためにはサブネットの切り替えが必要なので、平日とEDIが動いている土曜日は実施できず、日曜日にやるしかありませんでした」と説明する。その後テストを重ね、2017年1月21日、年1回の法定点検の日に本格的なテストを実施し、問題なく切り替わることを確認した。
現在DRの対象となっているのは、見積、受発注、在庫管理、物流などを担い全社員が利用する基幹システムと、顧客が見積や発注に利用するECサイト「ECNex」で、レプリケーション対象VM(仮想マシン)は30。DR発動時は社員全員が仕事ができるとは考えられないので、200~250ユーザーを想定している。
——DRサイトをリーズナブルかつスムーズに実現
ネットワールドクラウドのDRサービスの効果について大原氏は、「ホスティングに比べてかなりリーズナブルに構築できました。また、リソースのコントロールが簡単にできるので、拡張も容易です。特に助かったのが、富士通クラウドテクノロジーズ(当時はニフティ)の柔軟な対応です。外資系のクラウドサービスは、テストにも費用がかかり、予定通りにいかないと稟議からやり直す必要があります。そうするとどんどん時期が遅れてしまう。その点ネットワールドクラウドは無料のトライアル期間も用意されているなど柔軟に対応してくれ、スムーズに導入できました」と評価している。小林氏も、「たとえばVPNの設定例は、外資系企業のマニュアルはシスコしか載っていません。その点、ネットワールドクラウドのマニュアルにはヤマハの設定もあり、日本企業が必要とする情報が網羅されていて助かりました。また、vCloud AirではオンデマンドとDRを同じDCで使えなかったため、それぞれを本社のシステムと接続する必要がありました。その点ネットワールドクラウドは、同じDCに置けるので構築も切り替えも簡単です」と語る。導入時にはバックアップ/セキュリティサービス(Acronis Cyber Protect Cloud)も利用。DBサーバなど制限を超える容量のデータ移行に活用した。
同社は、今後毎年1回の法定点検時にテストを実施する予定。訓練を続けることで万一に備えると共に、まだ小林氏しか把握していないナレッジの詳細を、訓練を通して共有していく。
今後の展開について大原氏は、「現在流通センターの伝票印刷システムを新しく構築中で、そのシステムもDRに対応する予定です。今後ビジネスに合わせてシステムはどんどん拡張するので、それに合わせた対応は当然考えています。これからもDRサイトが安定して継続できるよう、富士通クラウドテクノロジーズには期待しています」と締めくくった。
ECNex [DRサービス]
顧客が直接製品検索や見積、発注などを実行可能なECサイト。さまざまな検索方法、アプローチ方法によって、ニーズに適した商品を比較特定できる。複雑なライセンスの見積を画面に従って操作するだけで解決できる「かんたん見積」機能も装備。会員数は22,000ID以上、アクティブ顧客が約4,000社、取り扱いアイテムが200万点以上にも上る。
企業情報
シネックスインフォテック株式会社
米国に本社を置くSYNNEX Corporation(ニューヨーク証券取引所上場)の一員。国内大手IT専門商社の歴史を持ち、日本企業だけでなく米国に本社を置く世界的なトップメーカーや台湾、中国企業とも太いパイプを確立。Google Partner Award2016に選出されるなど、外資系の強みと50年以上の歴史を最大限に発揮し、これまで以上にビジネスの拡大を目指している。
- ※注製品名および会社名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
- ※注当社は、2017年4月1日にニフティ株式会社から富士通クラウドテクノロジーズ株式会社に社名を変更いたしました。
また、2017年11月1日にニフティクラウドからニフクラにブランド名称を変更いたしました。 - ※注本インタビューは2017年6月30日に行いました。2017年6月30日現在の情報です。
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