ニフクラ 基幹システム事例「基幹システムのパブリッククラウド化」
DX加速に向けJA初となる 基幹システムのパブリッククラウド化を実現
県内20JAからなるJAグループ福岡の情報システムを管理・運用する株式会社JA福岡県協同情報センターは、JA初となる基幹システムのパブリッククラウド化を目指し、ニフクラを採用。システムの構成変更が柔軟かつ短期間で対応可能な環境を有し、今後は、福岡県内JAの統合に伴うインフラ再編や、ICT戦略を積極的に推進していく。
東 茂 氏
協同情報センター 代表取締役常務
繁木 真理 氏
協同情報センター 総務企画部 部長
田中 徳彦 氏
協同情報センター 総務企画部 部長
——DX加速に向けた 基幹システムの再構築を検討
設立から6年目を迎えたJA福岡県協同情報センターは、前身であるJA福岡中央会の情報システム部時代を含めて30年以上にもわたり、県内JAの情報システムの管理と運用・保守を担ってきた。JAの事業は多岐にわたる。例えば、農畜産物の販売と農業に必要な資材の購買などを行う経済事業、農業経営を支える金融事業、その他、経営・生産についての助言を行う営農指導事業などだ。こうした事業活動が円滑に行えるように、情報システムを安定的に管理・運用するのが同社の役目だが、それに加え「JAグループにおけるICT戦略のトップリーダーを目指すという大きなビジョンを掲げています」とJA福岡県協同情報センター代表取締役常務 東茂氏は話す。「クラウド、AI、RPA、スマート農業などの新たなデジタル技術が生み出され、特にここ数年、ICTは急激に進展しています。新たな技術を積極的に取り入れ、農業・JA・地域の発展に貢献することが我々の使命だと考えています」(東氏)。
JAグループ福岡では長らく、県内の20JAが利用する経済・管理業務の総合情報システムとして「Fオン」を運用している。1985年に富士通株式会社とともに開発された同システムは、オンプレミスにて5年に一度の基盤更改を繰り返しながら稼働してきた。「システム環境の見直しを本格的に検討し始めたのにはいくつかの理由があります。ひとつは、旧システムではDXへの対応が困難だと判断したためです。やはり5年に一度、基盤更改を行っていても、基盤自体にFオン誕生時の原型が残っており、システムの抜本的な変更を難しくさせていました。これでは急速に進化するデジタル技術に、柔軟に対応できません」と東氏。また、今後、大型JA合併や組織再編がさらに推進・加速される可能性もある。「仮に一つの組織に統合された場合、巨大な組織に変わります。JAの業務そのものが時代とともに多様化し、取り扱う情報が膨大になっていることに加えて、組織の規模が格段に大きくなることを想定すると、旧システムでは立ち行かなくなります」(東氏)。このインフラ再編プランは、コスト面にも大きく影響を与える。組織の統合を想定した場合には、新システムを構築する際の二重投資も懸念される。「統合する場合、旧システムのハードウェアを償却しなければならず、ある意味、旧システムと新システムの二重投資が発生し、無駄なコストがかかります。将来的な再編を見据えて、無駄な投資が発生しないシステム環境の必要性を感じていました」と話すのは、業務開発部部長 田中徳彦氏。
BCP対策も、システム環境を見直す理由のひとつだ。これまでFオンは事務所建物内で稼働させていたため、震災などが発生した際の対策が万全とは言えなかった。「例えば火災が起こった場合、消火活動で事務所内のデータはすべて消失してしまうでしょう。もちろん、こうしたことに備えて、日常的にデータのバックアップは行っていましたが、システムを復旧させるためには、時間も労力もかかります。その点、これがクラウド環境であれば、データの保護はもちろんのこと、そもそもシステム自体が影響を受けないため、安心です」(東氏)。
——オンプレか、クラウドか─ 検討の末にたどり着いた 唯一の選択肢
同社がシステム再編の検討を始めたのは2016年。「すでに基幹系システムのクラウド活用は多くの企業で採用されており、私たちも選択肢のひとつとしてクラウド化の検討を始めました」と東氏。「海外ベンダーのクラウドサービスはシェアこそ高いですが、導入後のサポート体制などを考えて候補から外しました。為替の変動がコストに影響するのも敬遠した理由のひとつです。その点、国産クラウドベンダー、とりわけ富士通とはFオン導入から30年以上のお付き合いがあり、サポート体制が万全であることも承知しています」(東氏)。それでも、簡単には導入に踏み切れない。「JAの基幹システムをパブリッククラウドに上げるのは初めての経験でしたし、失敗は許されません。非常に不安とプレッシャーを感じていました」と東氏。実際、この段階では、オンプレミスとの比較検討も行われていた。「例えば、クラウド採用のメリットとしてシステム変更時の柔軟な対応が挙げられますが、同様に柔軟な対応が期待できる仮想化基盤を使ったオンプレと比較するとどうか─結果的には、仕様やコスト面においてオンプレは妥当でないと判断しましたが、こうした比較検討を丁寧に行えたことが良かったです」(田中氏)。その結果、仮想化プラットフォームで世界一のシェアを誇るVMware vSphere®をベースとしたクラウドサービス「ニフクラ」の採用を決定。ニフクラはシステム構築の柔軟性、単一ゾーンでサーバー1台からSLA(サーバー稼働率)99.99%が適用されるため、複数のゾーンを跨いだクラスター構成が不要となる。万が一物理サーバーが故障した場合でも、約5分以内に他の物理サーバーへ切り換わり再起動される自動フェイルオーバー(HA)機能がニフクラでは標準搭載されている。データや現在設定されているIPアドレス、選定しているサーバースペックなどは切替先に自動的に引き継がれ、停止時間を最小限に抑えることが特徴だ。「コスト面での優位性でクラウドが勝っていたことに加えて、システム、ネットワーク、運用保守をワンストップでサポートしてくれる安心感から、ニフクラ以外に選択肢はないという結論に至りました」(田中氏)。
——柔軟なシステム構築でDXに対応 クラウドのデータを 有効活用しJAのDXを牽引
ニフクラを使った新システムは、株主総会で承認後、設計・開発・テストを約1年半掛けて実施し、2020年7月から本格的に稼働を開始。その後、10月までに県内20JA全てで運用を開始した。「ニフクラは、必要なときに必要なリソースを自由に構成でき、さらにシステムの構成変更が容易かつ短期間で対応できるので、DXへの対応もスムーズになると思います。組織再編時の新旧システムの二重投資についても、新たなハードウェアを用意すること自体が不要なため、無駄な出費はありません。」(田中氏)。 BCPの課題も解消された。事務所建物内にシステムを置かずに堅牢なデータセンターで管理でき、データも日々、DRサイトにバックアップされる。仮に自然災害等で本番サイトが機能しなくなった場合でも、DRサイトのバックアップデータを基に早期に復旧できるため安心だ。平常時にはリソースを使用せずミニマムな課金となるため、コスト面のメリットもある。
JA初の基幹システムのパブリッククラウド化を成功させたことで、同社には早速、各県からたくさんの問い合わせが入っていると言う。「今回のチャレンジは、長期的視点に立った取り組みであり、まだまだ課題も山積しています。それでも社員にとっては、将来における壮大なビジョンを持つひとつのきっかけになったのではないかと考えています」と東氏は話す。今後は、基幹システム以外も順次クラウド基盤へ移行させていく予定だ。「JAの保有する農業関連データをクラウド上に集約・分析することによって、新しい付加価値のある情報を生み出せるような仕組み検討したいと思っています。そして、JAグループにおけるICT戦略のトップリーダーとして、スマート農業やAIの活用など、全国に先駆けてチャレンジしていきたいです。その意味でも、富士通とは、デジタルトランスフォーメーションなどの新分野をはじめ、ICT全般のパートナーとして末永くお付き合いしていきたいです」(東氏)。
基幹システムのパブリッククラウド化 [基幹システム]
【課題の解決】
・新たなハードウェアを用意する必要がなく、無駄なコストが発生しない
・高信頼なクラウド基盤を利用したDR構成を実現
企業情報
- ※注製品名および会社名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
- ※注当社は、2017年4月1日にニフティ株式会社から富士通クラウドテクノロジーズ株式会社に社名を変更いたしました。
また、2017年11月1日にニフティクラウドからニフクラにブランド名称を変更いたしました。 - ※注本インタビューは2021年2月4日に行いました。2021年2月4日現在の情報です。
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